お客様インタビュー|日常のコト
気を張らずに呼吸できる家「Breath」ができるまで|お客様インタビュー後半
前半のインタビューでは、相田さんご夫妻が家づくりを考え始めたきっかけから、RENOVESのモデルルーム「kiro」での出会い、そして豊平区に建つ築25年・約98㎡のマンションを決めるまでをお話しいただきました。暗くなるまでサウナの話をしたヒアリングを経て、デザイナーが二人に手渡したテーマは「Breath」——呼吸。
後半は、そのテーマがどうやって家のかたちになっていったのか。そして「入れる予定のなかったサウナ」が、どうしてこの家に入ることになったのか。設計から完成、これからの暮らしまでを伺います。
▷インタビューの場所はリノベスランド花レ。いつもはdariaというおむすびと豚汁のお店が営業している店舗にて
家づくりのテーマは「Breath」
初回のプレゼンテーション。間取り図の前に、デザイナーの宮島さん・小林さんが二人に提案したのは、この文章でした。
「Breath」〜動と静のあいだにある住まい〜
人生は、ずっと歩き続けるだけではなく、ときに立ち止まり、深く息をし、心と身体をととのえながら進んでいくものだと思います。
歩むことと、休むこと。動くことと、緩めること。そのリズムこそが、暮らしの質をつくっていくと思います。
それは、人生の歩みの途中で”呼吸する場所”をつくるということ。日常の動線の中に、ふっと力が抜ける場所があり、思考が静まり、心が整い、また一歩を踏み出せる。
サウナで温まり、冷まし、休み、ととのって、また日常へ戻るように。この家もまた、動きと静けさ、緊張と解放が心地よく循環する、人生の呼吸を支える器でありたい。
ヒアリング時みんなで盛り上がったのは、ほとんどサウナの話でした。けれどデザイナーたちが受け取ったのは、サウナそのものではなく、その奥にあった「家に帰ったら、気を張らずに休める場所がほしい」という願い。宮島さんは、当時の意図をこう話します。
「テーマがサウナに寄りすぎても違うし、でもちょっと意識しながら。説明する文章の中でも、サウナっていう言葉はなるべく入れずに、”整う”とか”呼吸”とか、″あったかい″と″冷たい″、っていう言葉だけ入れるようにしました」
サウナ好きの二人に、サウナの家を提案する。それが一番簡単です。でも、そうしなかった。二人の好きなものの奥にある「休みたい」を、暮らし全体のリズムとして返した。ご主人は、そのプレゼンをこう受け取りました。
「自分たちの好きなものをテーマにして家をつくってくれるんだ、っていうのがまず嬉しくて。Breath、呼吸っていうところも、めちゃめちゃ嬉しかったですね」
二つのプラン。どちらにも、サウナはなかった
プランはA案「Still——留まる・冷ます・整える」と、B案「Flow——巡る・温まる・動く」の二つ。ご夫妻は、後から説明されたB案に心を動かされます。
「Aの時点でも、おお、すごいってなっていたんですけど。Bの方が、いろんな条件をより考えてくれていて」
その条件とは、将来家族が増えたときに個室として使える部屋を確保すること。RENOVESのモデルルーム「kiro」で気に入っていた、家の中をぐるりと回れる回遊動線。家でも読み書きや軽い作業ができる小上がりのゾーン。そして、奥さまが自然光の入る窓辺で化粧をしたい、という願い。ヒアリングでこぼれた言葉の一つひとつが、B案には拾われていました。
ただ、ここで気づく方もいるかもしれません。この時点で、家の中にサウナはまだありません。
帰り際の雑談から、サウナが入った
打ち合わせは、いつも「最近サウナどうですか」から始まりました。前後に必ず近況報告が入り、どこに行った、あそこはどうだった、と盛り上がる。その流れで、ある日の帰り際、ご主人がふと口にします。
「自宅サウナって知ってますか、家に欲しいんですよね、って。そしたらもちろん知っていて、そこでまた盛り上がっちゃって。でも帰り際だったから、”いいよね”で終わって、そのまま帰ったんです」
その時点では、まだ何も決まっていない。ただ「今の間取りのままだったら、この場所かな」という話は、なんとなくされていました。そこから何回か、会うたびに少しずつ、話が進んでいきます。
「サウナを入れたきっかけは、人生設計が結構大きいかなと思っていて。家族が増えると、サウナには行けなくなる。先輩方の話を聞いていても、時間は取れないよって」
「あとは、RENO CAFEに行くといろんな家づくりの先輩方がこだわりを持って、趣味部屋とか、いろんなものをつくっている。それを見ていったときに、相談してみたいなって思えて。自分もやってもいいんじゃないかなって」
ベランダが大きいから、山を見ながら外気浴できたら気持ちいいよね。日常の中にあれがあったらいいよね。「欲が出た」と二人は笑います。きっかけを与えてもらったから、相談してみよう。そう思えたのは、ほかのオーナーさんの家に何度も足を運んでいたからでした。
寸法との、2〜3週間
相談を受けてすぐに動いたのは、小林さんでした。メーカーを調べ、札幌での実績を当たり、選択肢を並べていきます。組み立て式のサウナは価格を抑えられるけれど、サウナ好きの二人が満足して入っていられるか。かといって、ドライサウナは二人の好みではない。価格帯、防火性、マンションの管理組合との兼ね合い。ハードルはいくつもありました。
「サウナーだからこそ、いろいろわかっていただけた部分が大きかったです」と、ご主人。宮島さんは、裏側をこう話します。
「寸法を収めるのが、実は一番苦労しましたね。もちろん価格もそうだし、ちゃんとご提供できる価格であることは軸にあるんですけど。あとは、整うか整わないか。入り心地がどうか。その辺は結構シビアでした」
図面を描くときも、まず宮島さんがざっくり整理して、高橋さんと小林さんと詰めて、実際の納まりを確認して、二人に投げる。その繰り返しの中で、洗面所の場所は最初のプランから大きく変わりました。
「サウナを入れるときの優先順位があったんです。洗面のカウンターと、洗濯機の位置と、”整い”の動線。サウナを遠くにしてもいいけど、そうすると水風呂まで遠くなるよねとか。でも、そうすると将来使う部屋が小さくなる。その部屋も将来自分たちの部屋になるかもしれない。そういうところも全部込みで考えました」
ひとつ動かせば、別の何かが動く。2〜3週間をまたいで、何度も検討が重ねられました。札幌でも実績の少ない自宅サウナ。メーカーの担当者は東京から来ることになり、寸法、仕様、管理組合への説明。小林さんは、一つずつ確認しながら長文のやりとりを重ねました。
「小林さんの、すっごい長文のやりとりを、当時隣の席で見ていました」と、インタビュアーの明里さんは笑います。
迷っても、決めたら早い
これだけの検討を重ねながら、ご夫妻には「一度決めたら妥協しない」という共通点がありました。
「やるんだったら、やった方がいい。それは皆さんのお家を見ていると、教えてもらえた部分があるなと思っていて。自分のやりたいことを、やっていいのかな、っていう最初の気持ちが、やれるんだったらやった方がいいなって思えたのは、実際に数々のオーナーさんの家に足を運んだからです」
宮島さんは、二人との打ち合わせをこう振り返ります。
「ほぼ全箇所で、お二人がちゃんと問いを持って、自分たち的にどうかを事前に考えてきてくれた。ただ言われた通りに”はい、そうです”じゃなくて。例えば、玄関からウォークインクローゼットまで回れる動線も最初はあったんですけど、自分たちには収納は収納で、動線は切り離してもいいかな、って。細かく考えていただいて、ちゃんとインプットして、アウトプットしてくれるのが印象的でした」
打ち合わせの前と後。二人は、いつも図面を見ながら話していました。
「これどう思う、これどうする、って。寝る前に図面を見ながら。会話が増えました」
意見が分かれることは、あまりなかったといいます。あったとしても、カップボードに棚をつけるかどうか、洗面に電源を入れるかどうか。そんな小さなこと。迷うことはあっても、二人で話して決めたら、そこからはもう迷わなかったそう。
「最初は迷っていたけど、だんだん、だったらこうじゃない、じゃあこっちか、みたいなのが早くなりました」
「判断力が鍛えられました」と笑うご主人に、宮島さんは「軸ができてきた、っていう感じですね」と応えます。
ダイナーを、この家の真ん中に
もうひとつ、この家の主役があります。壁際にベンチを造り付け、そこにテーブルを組み合わせた、アメリカの食堂の席のようなダイニング。RENOVESでは「ダイナー」と呼んでいます。
「kiroのダイナーが、居心地よかったんです。時間を忘れて喋れる空間っていいねって。新しく買って探すよりも、そこに固定してあるほうがサイズもぴったりだし、いろんな座り方ができるのもいいなって」
最初はテーブルを造作にして、椅子はインテリアで提案する予定でした。それが変わったのは、ほかのオーナーさんの家「Remastered」を訪ねた日。実際にダイナーに座って、こんなことができちゃうんだ、と思った二人は、その帰り道に決めていました。
「”これもお願いできないかな”って、ふたりでRENO CAFEの会場から歩きながら話していたんです。その日の午後の打ち合わせで、宮島さんに相談しました。”これまでで一番良かったです”という話から、”また追加でお願いしたいことがあって”って切り出したら、宮島さんがその場ですぐに書き出してくれて。急なわがままを聞いてくださって、本当にありがたかったです。」
相談を受けた宮島さんは、その場でレイアウトをすべて整理し直しました。この家は窓が多く、壁際に逃げ場がない。だからダイナーを家の中心に置く。ダイナーからプロジェクターを見られるようにし、キッチンからは一直線。Remasteredとは違うキッチンのレイアウトになったからこそ、これはこれで、すごくいいものになるという確信がありました。
実は宮島さんは、Remasteredのオーナーさんにも「Remasteredのダイナーを見て、いま同じようにつくっている方がいるんです」と伝えていました。すると、「すっごく楽しみにしています」「数ヶ月住んでみた感想だと、座るなら角がおすすめですよ」と返してくれたそうです。それを聞いたご主人は「やっぱり角ですよね。どっち向きにも座れますから」と、嬉しそうに笑います。
優しい色味に、ひと癖
全体の印象は、優しい色味。「無意識のうちにそうなった」と二人は言います。最初にクロスと床の大きな枠組みを決めて、そこから少しずつ派生させていく。タイルは3箇所。通常はキッチンと洗面に貼ることが多いのですが、この家では玄関にも貼りました。
タイルのベースは、小林さんが選びました。白がいいか、シックにいくか、それとも色が欲しいか。何度も相談を重ねて選んだのは、翡翠のような色のタイル。貼ってみると光の加減で少し黄みがかって見えて、それがまた良かったといいます。
一番迷ったのは、キッチンのバックボードのタイル。タイル選びに難航することをRENOVESでは「タイル沼」と呼びます。
「同じサイズなんだけど、模様が違うタイルをランダムに貼っていて。高橋さんが割り付けを何パターンも出してくれて、この割合をもうちょっと減らして、とかたくさん検討しました」
キッチンを正面に見たとき、左手にバックボード、ガラスの扉、アールの窓、造作のテレビボード、そしてダイナー。要素がたくさん集まる場所だからこそ、主張しすぎず、でも一癖つけたい。そのバランスを考えて選ばれたタイルです。
ベースの色はそんなに増やさず、木目は全体で合わせておいて、柄で遊ぶ。窓もまっすぐではなく、アールをつける。テレビボードも普通の箱ではなく、少し遊びを入れる。照明も、あえて絞る。カーペットも思い切って使う。そういう小さなこだわりが、家のあちこちに散りばめられています。
そしてこの家は、迷路のようにたくさんの回遊動線があります。
「行く場所がいろいろあって、迷路ですよ。かくれんぼはできますね。鬼ごっこも、なかなか捕まらない笑」
宮島さんが説明します。
「パブリックとプライベート、というゾーン分けをしているんです。光の計画も、なんとなくパブリック側に光を集めて、人が導かれるように、迷わないように。トイレの動線も、足元を照らしたりとか。細かいところまで、お話して検討しました」
住んだらしたいこと
完成後の楽しみは、やはりサウナ。3面に広がるベランダに外気浴用のインフィニティチェアを置き、ロウリュに使うハーブを育てる計画だそうです。
「ベランダが広いので、ハーブを育てようと思っています。それを摘んで、昔東京のサウナ施設で体験した、生ハーブを使ったロウリュをしてみたいんです。ほかにも、ほうじ茶や好きなアロマでロウリュするのも楽しみで。自宅サウナだからこそ、いろんなことを好きに試してみたいですね」
友人を招いて過ごす時間も楽しみにしていて、すでに予約が入っているのだとか。
「サウナはもちろんなんですけど、週末にいろんな人が集まって、美味しいものを食べたりとか。そういう時間も楽しみです」
「わがままを言うのが、仕事です」
最後に、相田さんからこれから家づくりをする人へ。
「一番最初を思い返したら、自分たちがやりたいことが何かって、正直見えていなかったんです。でも話をしていくとか、RENO CAFEに参加して、経験のない家づくりを見て回るとか。それぞれの人がどういうものをつくっているのかを見て感じていく中で、自分のやりたいことが徐々に見つけられました。RENOVESオーナーの皆さん、ありがとうございます、っていう気持ちですね」
奥さまは、宮島さんの言葉を挙げました。
「”わがままを言うのが仕事だ”っておっしゃってくれたのが、印象的でした。いっぱい要望して申し訳ないな、と思っていたんですけど。結果、すごく満足するものができたので。相談してみてよかったなって」
宮島さんは、こう続けます。
「家づくりする人って、ほとんどが初めてなんです。だから我々としても、どんどん深掘りしたいし、その中で出てきたものは全部受け止めます。それはお互い様。もちろん、こうおっしゃっていますけど、こうじゃないですか、っていう話もちゃんとしますし、あえて考えてもらうように質問を投げかけたりもします」
遠慮しながら始まった打ち合わせは、だんだん遠慮がなくなり、サウナが入り、ダイナーが入り、家は最初の提案から大きく変わりました。それでも、テーマは最初に手渡された「Breath」のままです。
サウナの話ばかりしていた二人が、呼吸する家をつくった。入れる予定のなかったサウナは、その呼吸のひとつになりました。
RENO CAFE「Breath」について
相田さんご夫妻の家は、9月12日(土)からの5日間、RENO CAFE「Breath」として公開されます。
RENO CAFEは、ある家族が見つけた暮らしを体験する場所です。好きか嫌いかを判断する場所ではなく、「自分だったらどんな暮らしがしたいかな?」と想像を膨らませる時間。マンションの中にサウナがある暮らし、3面バルコニーで山を眺める外気浴、家の真ん中に置かれたダイナー、洗う・干す・たたむ・仕舞うが一直線につながるユーティリティ。二人が「入れる予定のなかったもの」まで含めて、自分たちの暮らしに家を近づけていった時間を、実際の空間で確かめてみてください。
暮らしは、もっと自由でいい。
【RENO CAFE「Breath」】
- 会期:9月12日(土)・13日(日)・19日(土)・20日(日)・21日(月・祝)※要予約
- 会場:札幌市豊平区(ご予約の方に詳細をご案内します)
- 予約:ご予約はこちらのページから
続きは、リノベスランドで
あなたのことを、聴かせてください。
暮らしのこと、好きなこと、気になっていること。
話しながら、見えてくるものがあります。