カラメル

Data
  • カテゴリ
    戸建リノベーション
  • エリア
    小樽市
  • 家族構成
    ご夫婦+お子様3名
  • 築年
    平成3年6月
  • 建物面積
    173.29平米(52.42坪)
  • 土地面積
    315.85平米(95.55 坪)
焦がして、深まる。

砂糖は、焦がされることで色を深め、ほろ苦さと甘さをあわせ持つ別のものへ変わります。この家の名前は「カラメル」。リノベーションのベースにしたレトロな喫茶店の佇まいから、プリンを、そしてその底に沈むカラメルを連想して名づけられました。

カウンター、タイル、照明──小山さんが選び抜いた色味は、どれもカラメルのような深い飴色をしています。古い家に手を入れ、新しい価値へと変えていくリノベーションそのものも、砂糖が焦げて姿を変える過程によく似ています。

そして「カラメル」には、もうひとつの意味が重ねられています。家族や、この家に関わる人たちが交わり、絡まり合っていくこと。糸を「絡める」ように、暮らしの中で互いの時間が重なり合っていく――その願いも、この名前にそっと溶け込んでいます。ほろ苦さと甘さは、懐かしさであり、これから重ねていく暮らしの味わいでもある。ひとつの言葉に、この家のすべてが溶けています。

走っても、こもらない家

走る、登る、宙返りする。その隣で、宿題をして、コーヒーを淹れる。

小山さんの家では、それが全部ひとつのリビングで起きています。壁の一面にはボルダリング、天井からはブランコと登り綱。床にマットを敷けば、体操の床種目の練習場にもなります。けれどここは特別な遊び場ではなく、家族がいちばん長く過ごす、ただのリビングです。

「子どもたちが部屋にこもらないようにしたかった」。打ち合わせの早い段階から、お二人はそう話していたといいます。きっかけは、ちょうど家づくりと重なったコロナ禍でした。公園も子育て支援センターも閉まり、子どもたちの遊び場がふっと消えてしまった時期。「家の中である程度好きなことができるって、いいなと思って」と奥さま。ピラティスの指導もされる奥さまの視点で、足の裏に刺激の入るボルダリングや、三半規管を育てるブランコといった、遊びながら身体が育つ仕掛けが選ばれていきました。

リビングには、ご主人のデスクもあります。みんながそれぞれ別のことをしながら、同じ場所にいる。1階だけで暮らしがほぼ完結するこの家では、家族の気配がいつも誰かのそばにあります。

広い家がほしかった、というより、それぞれが好きなことをしながら、同じ場所にいられる──そんな距離がほしかったのだと思います。

扉を開けると、好きな色だけが広がる

玄関からリビングの扉を開ける。その正面に、好きな色が全部そろっています。

モールテックスのカウンター、奥さまが一番こだわったというタイル、リノベスランドで一目惚れした照明、そして窓いっぱいの緑。「茶色だったり緑だったり、自分の好きなアースカラーが、扉を開けた瞬間にバッと目に広がるんです」。カラメルのような深い飴色をまとった、レトロな喫茶店のような一角が、帰宅のたびに出迎えてくれます。

キッチンの窓からは自然が抜けて見え、料理をしながらリスやキツツキが庭を横切っていく。「リスいるなあ、と思いながらお皿を洗って」。季節を感じる小さな寄り道が、毎日の手元にあります。

休日の朝、子どもたちにご飯を食べさせたあと、このカウンターでハンドドリップのコーヒーをゆっくり淹れる。以前住んでいた場所に専門店も少なく、深く知らなかったコーヒーが、小樽に来てお気に入りのミルを買い、豆を選び、いつの間にか暮らしの楽しみになっていきました。深い飴色のカウンターに、湯気がひとすじ立ちのぼる朝です。

1階で、暮らしがひとまわりする

以前の住まいでは、リビングが2階、お風呂が1階にありました。

以前の家での子育てを、奥さまはこう振り返ります。泥だらけで帰ってくる子ども、上で食べれば米粒だらけ、汚れる洋服。「子どもを抱えて1階までお風呂に入れて、また戻って、がすごく大変で」。下の二人は年子。ひとりを上に置いておくこともできない毎日でした。

だからこの家で決めていたのは、「いかに自分が楽に家事ができるか」。水回りをまとめ、洗濯も、買い物の片づけも、1階の中をぐるりと回りながら片づく回遊動線に。キッチンからユーティリティ、ユーティリティからウォークインクローゼットへ。買ってきたものはキッチン奥のパントリーへ。動きが途切れず、すべてが1階で完結します。

毎日の家事から階段の上り下りが消える。それだけで、暮らしのテンポが変わりました。家事が「楽になった」というより、毎日くり返していた小さな緊張が、ひとつずつほどけていく。気持ちのゆとりが、確かに増えました。

担当デザイナーからコメント

宮島義直

ご夫婦とのお打ち合わせは、今でも鮮明に思い出せるほど、笑顔の絶えない時間でした。

特に奥様の豊かな感性やアイデアに、私たちも毎回ワクワクしながら、一緒に住まいづくりを進めさせていただきました。

戸建てリノベーションだからこそ、すべてを新しくするのではなく、この住まいが歩んできた時間も大切にしたいと考えました。
残せるものは活かし、経年によって生まれた風合いまでもが空間の魅力として感じられるよう、一つひとつ丁寧に計画しています。

これからこの住まいで、ご家族のさまざまな時間が積み重なり、かけがえのない想い出へと育っていくことを願っています。

宮島義直
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