Focus —— ふたりの「好き」に、ピントを合わせる家

種別
物件購入リノベ

吉見ご夫妻の住まいには、ひとつの大きな特徴があります。それは、部屋を仕切るドアがほとんどないこと。間取りはほぼワンルームで、奥には一段床が下がった畳のリビングが広がっています。

ドアのない、ひとつながりの住まい

吉見ご夫妻の住まいには、ひとつの大きな特徴があります。それは、部屋を仕切るドアがほとんどないこと。間取りはほぼワンルームで、奥には一段床が下がった畳のリビングが広がっています。

「基本的に、部屋はいらないなって。二人だから個室もいらないし、一人で個室にこもってやることもないなって」(栞さん)

きっかけは、以前の住まいでの小さなストレスでした。「いろんなところにドアがついていて、いちいち開けなきゃいけないのが地味に負担で。なるべくそれを減らしたかったんです」と颯人さん。一般的な賃貸の2LDKでは、部屋が分かれているぶん「寝室以外、何の部屋にするの?」と持て余してしまう。ならばいっそ、ひとつながりの開放的な空間がいい——物件選びの段階から、二人の思いは一貫していました。

イサム・ノグチの「AKARI」が、やわらかな光で空間に彩りを添えます。

「和」とミッドセンチュリー、その心地よい調和

家づくりのテイストは、打ち合わせを重ねるなかで大きく育っていきました。

「最初はジャパンディというか、和の要素が強めで。ナチュラルな木の色を使って、間接照明で陰影をつけて、っていうところからスタートしたんです」(デザイナー・小林)

きっかけは、二人が旅先で出会う非日常の和室空間が好きだったこと。けれど対話を重ねるうちに、ファッションやアートを愛する二人の感性が見えてきました。「お二人の日常って、どちらかというと都会的で、ファッションやアートが好き。だったらお部屋もその延長にあるほうが、らしいんじゃないかと思ったんです」。テイストは少しずつ、ミッドセンチュリー寄りの、赤めの茶を効かせた都会的な方向へとシフトしていきました。

リーン・ロゼ、畳、そしてAKARI。それぞれの個性が調和し、この住まいらしい心地よさをつくり出しています。

リーンロゼのソファが導いた、畳リビング

それでも、二人が大切にしていた「和」の感覚は、ちゃんと住まいの軸として残りました。

「床に座りたい派なんです、私。ソファがあっても、結局その隣でクッションを敷いて床に座っちゃう。だったら畳のほうがいいよねって。寝転がれるし、畳リビングはマストだなって」(栞さん)

そして象徴的だったのが、その畳リビングの成り立ちです。鍵になったのは、二人が選んだ一脚のソファでした。

「リーンロゼのソファを主役に取り入れたくて。低くて、和室にもちょうど合うデザインだったので、畳に座布団みたいな感覚で置けたらいいなって。そこから畳の床を少し下げて、視点も低くする提案につながりました」(小林)

「いいソファを買っちゃったから、これに合わせて絶対に畳だと思って。リーンロゼのために畳リビングを選んだんです」(栞さん)

畳のやさしい質感と、アールの曲線。異なる素材や形が、空間にやわらかな一体感を生み出しています。

「好き」を言葉にする、宿題の時間

打ち合わせのたびに「宿題」が出され、二人は自分たちの「好き」を少しずつ言葉にしていきました。手持ちの家具やインテリア、気になっていたイメージを話すうちに、小林さんのほうから「それ、こういうのありますよ」と先回りで提案が返ってくる。「自分の好きなものをちゃんと拾ってくれて、毎回ニヤニヤしちゃいました」と颯人さん。

その颯人さんが、いちばん驚いたのが間取りの提案でした。

「自分でもiPadで間取りを考えてみたんです。ここがリビングで、ここが……って。それで、これが限界だな、これ以上はないなって思ってた。でも実際の提案を見たら、度肝を抜かれた。なんだこれって、全然違った。やっぱりプロはレベルが違うなって」(颯人さん)

ワンルームだからこそ、天井や床の「高さ」で空間にメリハリをつける。一段下がった床の畳も、当初は「床を上げるもの」だと思っていたところ、提案は逆に「少し下げる」もので、その発想にも驚かされたといいます。

キッチンの面材にもラワン材を採用。木のやわらかな表情が、住まい全体に統一感をもたらします。

二人並んでも、ゆとりのあるキッチン

キッチンは、料理をすることの多い栞さんの希望が詰まった場所です。「今のキッチンが狭いので、広くて、収納がたくさんあるといいなって。二人並んでも狭くないくらいの広さが欲しかったんです」。当初は対面式も検討しましたが、ダイニングテーブルの寸法との兼ね合いで壁付けのキッチンに。その分カウンターで緩やかに区切ることで、ソファのある空間とキッチンがほどよく分かれるレイアウトに仕上げました。

細やかな工夫も随所に。以前は使いづらい場所のコンセントのせいで、せっかく買ったコーヒー器具も「いちいち出すのが面倒で」眠りがちだったそう。今回は、キッチン横の空いたスペースにワゴンをすっと収め、その上に設置。使うときだけ引き出してダイニングの横へ。「今回はちゃんと使おうと思っています」と笑います。

玄関を開けると迎えてくれる、ラワン材で仕上げたやさしい曲面。

住まいの顔となる、ラワンの曲面

そして、玄関を入って正面に現れるラワンの曲面の壁。これは二人がとりわけこだわった、住まいの顔ともいえる場所です。

「ここのラワンのカーブ、どうしても実現したくて、思い切ってお願いしました」(颯人さん)

Instagramで見て憧れていた、囲われたような空間。その理想を小林さんが形にしてくれました。茶色いラワンの質感が、住まい全体の都会的なトーンを引き締めています。照明には、塗装を一度すべて剥がして仕上げ直したルイスポールセン PH5のリテイクモデルを。「それ、欲しかったやつ」とお互いの好みが一致し、お母様も後押ししてくれたのだとか。家具も照明も、これから二人と一緒に育っていく存在です。

真鍮のアクセントが印象的な寝室。ニッチの高さやサイズ、コンセントの位置まで、使い心地を考えて細やかに設計しています。

「Focus」—— 大切なところに、焦点を合わせて

この住まいに付けられたテーマは、「Focus(フォーカス)」。焦点を合わせる、大切なところに着目する——そんな意味が込められています。

ひとつながりの空間でありながら、それぞれの好きなことに夢中になる時間、心が休まる時間に、そっとピントを合わせる。畳に身を任せたり、好きなファッションやアートに浸ったり。颯人さんは革製品やデニムを「育てる」のが好きで、磨き込んだ革靴やヴィンテージのデニムが、年月とともに表情を深めていきます。一方の栞さんには、長く応援し続けているアーティストがいて、大切に集めてきたグッズの数々が暮らしに彩りを添えています。そんな二人それぞれの「好き」が、同じひとつの空間のなかで、それぞれの居場所を見つけています。何気ない日常の一つひとつに焦点を合わせることで、かけがえのない時間に変わっていく——。

二人らしくいられる暮らしに、これからゆっくりと時を重ねていく。Focusは、そんな願いを込めた住まいです。

RENO CAFEいま、見学できる家があります

マンションに、サウナのある暮らし。RENO CAFE「Breath」 9月19日(土)・20日(日)・21日(祝) 読んだ家とは違いますが、RENOVESの家づくりを実際の空間で確かめられます。 見学会の詳細・予約